昨年12月に訪れた古美術上田さんで久しぶりに見たガラスのショーケース。
何年振りだろう?
5〜6年前に製作させていただいたものですが、久しぶりに見る過去の自分の仕事はなかなかに興味深い。
大きさは、普段作っている家具と比べても小さなものです。留(45度)接合部など、どれも不具合なく加工方法の選択や設計に問題がなかったことに安堵します。
無垢の木材は一年の中で体積を変化させています。梅雨時などの湿度が多い時は空気中の水分を含んで膨張し、秋冬の乾燥期には含んでいた水分を排出して痩せていきます。この膨張収縮に対応できるように設計製作しないと家具の破損や不具合につながります。樹種や木目、材の大きさにより変化する割合は様々ですので、経験と観察眼が求められます。そう言った木材特性を考えて、自分の読み通り、不具合が発生していないのを確認できると嬉しいものです。
もう一つ嬉しかったのが木目の扱いです。大きな家具になると材料制約もあってなかなか思い通りに全体をコントロールできないことが多いですが、このショウケースは全て山桜の柾目材でまとめられています。(柱は四方柾!)表情豊かな板目と比べて柾目材は地味に感じるかもしれませんが本柾に出てくる斑がサイケデリックな表情で個人的には大好きです。良い材料と時間があって、このサイズだから出来た事ではありますが、綺麗なものを作れたことに感謝です。