一人で無垢材を使った家具製作を行っていると、社会からはだいぶ遠い位置にいるのかな?と感じます。家具製作の中で無垢を扱うのは少数派で親しい人は限られますし、普段の付き合いも木工と関係のない友人が多いです。
そんな木工に対して孤独にやっている私の元に何故かは分かりませんが数年に一度、海外の方がいらっしゃる事があります。恐らくは自身がSNSなどで僅かに発信している手工具の情報を見てアプローチして頂いてるのかと思いますが、先日いらしたのは手道具を海外で販売されてる方でした。
自分の工房に来て頂き、色々な手道具談義をすると、一般的な日本人の木工従事者よりも多くの知識と関係性をお持ちの中で、日本の手工具を探し出して海外の必要とする方にお届けしているとの事。以前よりそういった働きをされている方とのコミュニケーションはあったので、お仕事自体は想像の範囲内でしたが情報深度の変化が大きく、とても驚きました。恐らく大部分は彼自身の情熱によるところが大きいのでしょうが、時代も関係しているように思います。
個人的には日本の大工道具鍛治文化と手工具は縮小していく渦中にあると思います。そのような動きの中で今までと同じ形で存続していく事は難しい局面に入っていると感じますし、多くの方々が存続させようと御助力されているのを見ていますが、自身が出来る事はあまり無いように感じていました。それは私自身が伝統的な技術体系の教育を受けた事も無いですし、手工具をしっかりと教わった事も無い事、他者と共有する事をしてこなかった事も一因でしょう。
昨今、自身の周りでも先人の廃業、惜しまれながらの世代交代などの知らせを聞く機会が多くなり、大きく変化する時期なのだと感じています。私自身は伝統から遠い立ち位置ではありますが、そんな自分にしか出来ない事も海外から来る人を見ていると有るように感じて来ました。自分が知り得て来た事を伝えていく方法を考えて行こうと思います。