家具を作る行為はとても面白く、奥深い。
素材や技術だけでなく、立体物としてのフォルムやアウトライン、制約としての製作時間や予算までもが、それぞれ構成要素としてお互いに関係し合い、形を成している。
その中で、家具を始点として存在する時間について考えてみたい。
どんな家具を作るか考える時間
材料を吟味する時間
道具を整備する時間
製作する時間
購入して頂いた方へ届ける時間
所有して頂いた方が生活の中で使用する時間
壊れない限り続く、家具が存在する時間
恐らくは、製作者である自分の手を離れてからの方が、圧倒的に長く続いていく。
さらに素材である木材が育つ時間や、木を山から切り出す時間、製材する時間、乾燥する時間まで合わせたら、自分が関わる時間は想像以上に短い。
そこを意識した上で家具を作りたいと思う。
そういった前提の中で
家具がどの様に使われ、どの様な関係を使用者と築くのか?
そこが最も興味深い。
そこに定型は無い。
極端な言い方をすれば、日々の生活の中で家具の事など考える必要は無い。
もっと言ってしまえば便利である必要も無い。
ただし、美しさと心地良さを内包していなくてはいけない。
それぞれ、その家具に関わる人にとって。
日々製作に向き合っていると、時々、意図や計算を超えた「あるべき形」に出会うことがある。
それは素材そのものと技術の集積によって与えられる時もあるし、純粋なインスピレーションによる場合もあります。
それを大事に、そして信じることは先人の仕事を通して教えてもらいました。
そういった価値観に連なりたい、と思う。
Time will tell.
佐々木 毅